薬学の知識をつけるには

薬学部で学べることはごくわずか

薬学部における薬剤師養成課程は卒業までに6年という長い期間をかける本格的なものです。

それだけ長い時間をかけて勉強をするのだから、卒業時にはかなりの薬学の知識を備えることができるものと思ってしまいますが、実際には在学中に覚えることができる薬品の知識は全体からみてごくわずかな部分にとどまります。

というのは実際に医療関連の現場で処方される薬品の数はまさに星の数と言ってよいほど無数にあり、どういった診療科や医師の方針になるかによって扱われる薬品の種類が変わってくるからです。

また薬学の分野はものすごい速さで研究が進められ、毎年かなりの数の新薬が開発されてきているので、学校の課程だけでそれらを完全にカバーするのは不可能です。

ですので薬剤師の資格を得たあとからこそがスタートと思い、謙虚な気持ちで現場における薬品の使われ方を学んでいくということが新人薬剤師には必要となってきます。

最初は病院勤務などで臨床経験を積むのがおすすめ

薬剤師として仕事をするとき、最初の就職先として勧められるのは大きな病院内での勤務です。

大病院

病院に勤務をする薬剤師は院内の医療チームの一員として、病棟に入院をしている患者さんや定期的に通院をされている患者さんに対し、医師や看護師、検査技師たちとともに治療のための役割を担っていきます。

中でも病棟薬剤業務と言われる入院中の患者さんへの薬品担当はかなり貴重な臨床経験を学べる仕事であり、チームの一員としての役割を学べるとともに、自分が処方する薬の効き目を直接確認していくことができます。

薬剤師の仕事としての求人数はそれほど多くないので、新人がいきなり採用されるのは難しいこともありますが、最初だからこそこうした難しい業務に取り組んで経験を多く積んでもらいたいところです。
医療研究に積極的な現在では、正社員だけでなく派遣からでも研究やデータ分析の求人は募集されているので、そこから徐々に知識をつけながらキャリアアップしてもよいでしょう。

ドラッグストアなどでは調剤以外の仕事が多い

薬剤師の求人として近年急増してきているのがドラッグストアでの販売員です。

ドラッグストアは米国で営業されるようになった店舗形態を日本に持ち込んだもので、90年代からの規制緩和の並にのり全国にたくさんの店舗ができるようになりました。

強い効き目を持つ市販薬を取り扱うドラッグストアでは必ず薬剤師がいなければいけないことになってはいますが、実際の勤務状況を見ると調剤薬局などのように薬品の調合のみを仕事にしているというわけではありません。

むしろ販売員として調剤以外の業務を担当することが多く、接客スキルを磨くことはできるものの肝心の薬学の知識を得るということでは少し難しい面があります。

新人のうちはドラッグストアのような販売業務よりも、より薬学に多く触れることができる業務を選んでおき、ある程度知識や経験ができてからそうしたお店に転職をした方が長期的なキャリアには便利かと思われます。